2005年度 食育プロジェクト

活動計画

今年度から本格的に事業化する食育講座は、前・後期 (各 3 回) の 2 期に拡大して行います。対象は札幌市内の小学校 3 ~ 6 年生。受講料は各期 5,000 円です。

講座内容では、旬の食材を使った料理実習を基本に、加工体験では豆腐作り、また農場見学のほか農作業体験、流通店舗の見学、パーティー料理とマナーを学ぶ企画が新たに加わります。また、受講生の主体性を促すためのグループ学習や自主研究も取り入れ、楽しい場でありつつも「教室」としての緊張感を同時に保つ講座づくりが課題です。

運営面では、継続的な事業に発展させていくために、スタッフ間の連携、それぞれの専門・適性に応じた役割分担などの体制づくりに取り組みます。

活動スケジュール

4 月~ 5 月 受講生募集 (新聞、チラシ、ホームページでの告知による)
6 月 スタッフ事前研修 講師との打ち合わせ
7 月 ようこそ料理の世界へ~料理の基本を身につけよう~ (前期第 1 回)
8 月 畑はワンダーランド! ~収穫体験とお昼ごはんづくり~ (同第 2 回)
10 月 大豆が大変身! ~豆腐づくりと豆腐料理~ (同第 3 回・修了式)
11 月 魚はエライ! ~頭も良くなる!? 料理とお話~ (後期第 1 回)
12 月 お店屋さんのお仕事発見! (同第 2 回)
1 月 シェフから教わるパーティー料理 (同第 3 回・修了式)

「まるごと学ぼう食育講座 2005~作って食べてたべもの博士! 」受講生募集のご案内

趣旨

いま、子どもたちの食生活をめぐって様々な問題が起きている中で、子どもたちが正しい「食」の知識を身につけ、食生活の大切さを理解する「食育」の重要性が高まっています。

北海道食の自給ネットワークとスローフード&フェアトレード研究会では、 2004 年度から札幌市の小学生を対象にした「食育講座」を実施しています。月に 1 回、専門家を交えた各界の選りすぐりの講師陣による講習は、生産から流通、調理の仕方に至るまで、「食」をまるごと楽しみながら学べる内容です。

要項

対象
札幌市在住の小学校 3 ~ 6 年生
定員
前期・後期各コース (※ 1) につき 20 人 (先着順)
※ 1: 前期・後期コースどちらでも受講できますが、両コースとも受講することをお勧めします。
各コースの概要 (予定) は下をご覧下さい。
受講料 (※ 2)
各コースにつき 5,000 円
(調理食材費、見学バス代等を含みます。ただし、保護者の方も参加される回では、別途参加料をいただきます)
※ 2: 受講料は開講前に納入ください (受付後にご案内の文書を郵送いたします)
応募方法
下記申し込み票に必要事項 (※ 3) を明記の上、郵送または FAX , E メールにて事務局へ送り下さい。
※ 3: 希望コース (前期・後期) 、参加者名 (ふりがな付き) 、学校名・学年・年齢、保護者名、住所、電話番号
応募締切
2005 年 5 月 15 日 (日) 消印有効
主な会場
札幌エルプラザ 2 階調理室 (札幌市北区北 8 条西 3 丁目) を予定

各コースの内容 (予定)

前期コース

第 1 回 ; ようこそ料理の世界へ ~料理の基本を身につけよう~
だしのとり方から調理の仕方、食器の洗い方、ゴミの分別まで基本をしっかり学ぼう。
日時 2005 年 7 月 2 日 (土) 10:00 ~ 15:00
実習メニュー 変わりオムレツ、みそ汁、青菜のおひたし、ご飯
講師 【山際睦子さん ,北海道栄養士会副会長】
第 2 回 ; 畑はワンダーランド! ~収穫体験とお昼ごはんづくり~
農場の見学と収穫体験。土に触れ、青空の下で農家の人と話しをしよう。
日時 2005 年 8 月 27 日 (土) 9:00 ~ 16:00
実習メニュー 農園のとれたて野菜を使った昼食。
講師 【駒谷信幸さん ,(農) 駒谷農場代表理事】
備考 貸切りバス使用、保護者 1 名まで参加可
第 3 回 ; 大豆が大変身! ~豆腐づくりと豆腐料理~
豆腐屋さんによる手づくり豆腐の作り方と、知ってオドロキ豆腐のお話。
日時 2005 年 10 月 1 日 (土) 10:00 ~ 15:00
実習メニュー 豆腐チャンプルー、もずくスープ、くみ豆腐、ご飯
講師 【遠藤一彦さん ,マル美エンドウフーズ】

後期コース

第 1 回 ; 魚はエライ! ~頭も良くなる!? 料理とお話~
漁師さんによる魚のおろし方と、ためになる漁業のお話。
日時 2005 年 11 月 12 日 (土) 10:00 ~ 15:00
実習メニュー ホッケフライ、ホッケのアラ煮、すり身だんご汁、ご飯
講師 【石崎忠幸さん ,日高管内指導漁業士】
第 2 回 ; お店屋さんのお仕事発見 ~普段は見られないお店屋さんのお仕事をぜ~んぶ見ちゃおう~
コープさっぽろの店舗見学と自主研究。
日時 2005 年 12 月 17 日 (土) 10:00 ~ 15:00
実習メニュー この回の実習はありません。
講師 【石坂裕幸さん ,コープさっぽろ運営本部長代行】
備考 昼食は弁当持参
第 3 回 ; 人気シェフから教わるパーティー料理
プロの技を学べ! 一流シェフによる、道産食材を使った本格料理。
日時 2006 年 1 月 28 日 (土) 10:00 ~ 15:00
実習メニュー メイン料理、スープ、デザートなど
講師 【貫田桂一さん ,ホテルクラビーサッポロ料理長】
備考 保護者 1 名まで参加可

事務局

〒 065-0015 札幌市東区北 15 条東 18 丁目 2-17 (有) ワードエム内
北海道食の自給ネットワーク事務局

食育プロジェクト活動報告

食育プロジェクトスタッフ 細野 善寛

今年度の講座は「まるごと学ぼう食育講座 作って食べてたべもの博士! 」。札幌市内の小学校 3 ~ 6 年生を対象に前期 3 回 (7 月、 8 月、 10 月) 、後期 3 回 (11 月、 12 月、 1 月) コースで開講します。 7 月 2 日の第 1 回講座は、昨年 6 年生で参加した受講生を含め定員を上回る 24 名 (3 年 3 名、 4 年 5 名、 5 年 8 名、 6 年 5 名、中 1 年 3 名。男女各 12 名) で開講。”調理の基本を学ぼう!”調理実習 (料理の基本) と栄養については、北海道道栄養士会の山際睦子さんの講義。また、”消費”の後に発生するゴミやゴミの分別についても札幌市環境局の職員の方から講義を受けました。

実習は、包丁の使い方からだしの取り方の料理の基本を。献立は、ご飯・味噌汁・納豆と貝割れの変わりオムレツ・ほうれん草のお浸し。子ども達は、昆布と鰹節で取ったダシで味噌汁の具 (ジャガイモ・えのきだけ・わかめ) を入れる順序、ほうれん草の色止め、栄養のバランスは「まごは (わ) やさしい→豆・胡麻・わかめ (海藻) ・野菜・魚・椎茸 (きのこ) ・芋」を摂り入れた献立を考える。など、その理由と説明に納得顔でした。メインの変わりオムレツは、少しキツネ色になったものや中身の納豆と貝割れダイコンの具が飛び出したりしたが、子ども達は自分で作ったオムレツを平らげ、特に味噌汁の美味しさに感嘆の声が聞こえました。帰宅後の子どもたちの様子を保護者からお便りをいただきました。 「一人参加に不安でしたが、行きと帰りの顔が全然違っていました。次回が待ち遠しいようです」 「翌日の朝食に息子がオムレツを作ってくれました。」 「昆布と鰹節の味噌汁に家族から”美味しい”と誉められ、うれしそうでした。」次回は 8 月 27 日農場見学と収穫体験です。

「まるごと学ぼう食育講座」で、魚料理に挑戦!

食育プロジェクトスタッフ 山里 麻奈美

食育講座は今回で今年度 4 回目となり、「魚はエライ! ~頭も良くなる!? 料理とお話~」と題し、魚についてとりあげました。講師は門別町で指導漁業士をしていらっしゃる石崎忠幸さんです。今回は、子供たち一人一人に一尾ずつホッケをおろしてもらいます。自分で魚をおろせるようになってほしいな、魚を身近に感じてくれるかな、魚が切り身になることを理解してくれたらいいな。これが私たちスタッフのねらいです。一方で、全員きちんとおろせるのか、怪我をしないか不安もありました。子供たちは、石崎さんにおろされている魚を見るなり、「うわー! 」「気持ち悪い!! 」という反応。ところが、石崎さんと楽しく会話をしながらおろされていく魚を見ているうちに、内臓が出てきても、「おお! 」「すごい!! 」「これは何? 」と、次々に前向きな反応をしてくれました。

次は自分でおろす番です。うろこをはがし頭を切り落として、二枚におろします。尾や背びれまで丁寧にうろこをはがしている子、水で洗いながら魚まで流してしまう子、いっぱいの身をつけた頭を切り落とそうとする子、いろいろでしたが、全員真剣に楽しく行うことができました。驚いたことは、みんなとても上手に魚をおろしていたことです。中には二枚におろすという目標を難なくクリアし、三枚におろしたグループもありました。子供たちは魚をおろせるのだと実感しました。

おろした魚は、半分をフライパンで焼き、半分をつみれ汁にします。調理はもうお手のものです。小麦粉にまぶしたり、焼いたり、つみれにしている間に、お魚は、どんどんいつも自分が食べているお魚料理に変わっていきます。お魚から料理に変わるまでの過程を実感できたと思います。

料理が完成すると「いただきます」です。子供たちはどんどん魚を食べていきます。「おいしい!! 」「うまい!! 」の反応。カペリンでない本物のシシャモも焼いていただきました。頭から骨ごとムシャムシャ食べてくれました。その表情はとてもおいしそうで、満足そうでした。

午後は石崎さんのお話です。「おいしいお魚を食べるためには、山や川をきれいに大切にしなければいけない。」石崎さんの優しい説明は、子供たちにすんなりと伝わったようでした。また、焼いて食べた本物のシシャモと、カペリンの違いについても話が盛り上がりました。

今回の講座を通し、子供たちはまた一つ、食べている食材についての知識・技を身につけたと思います。このことを自信にもち、今後の食生活、日常に生かしてくれたらと思います。

「まるごと学ぼう食育講座」

事務局長 大熊 久美子

1 月 28 日(土)、ホテルクラビーサッポロの貫田シェフを講師に迎え、2005 年度最終回の「食育講座」が行われました。今年度の講座の集大成ともいえるこの日のテーマは、「シェフから学ぶパーティー料理」。メニューは魚介と野菜のサラダ仕立ての前菜、野菜のスープ、ポークピカタ(ポテトオーレ添え)、デザートにミルクのやわらかゼリーという豪華な内容です。材料はすべて選りすぐりの道産素材で、このほかに道産小麦で作ったパンも付きました。メニューの多さからこの日はいつもとやり方を変え、子どもたちはどれかの料理を、ひとり一品ずつ責任を持って作るという形にしました。

グループ内での料理担当が決まり、貫田シェフの実演を見た後は、グループ毎の調理台でいよいよ調理開始です。スタッフに確認を取りながらテキパキと進めて行く子、貫田シェフの手順を思い出しながら慎重に作業を進める子、どの子の表情も真剣ながらどこか自信にあふれています。今までの講座での経験が、自分の力でやれるんだという自信につながったのかもしれません。

そして、「これだけの品数を無事に完成させる事が出来るだろうか」というスタッフのひそかな心配をよそに、子どもたちの手によって料理は見事に完成しました。お父さんお母さん達も一緒に参加しての昼食は「肉の焼き具合もバッチリ!」「盛りつけもキレイ」と大人たちから絶賛の声があがり、とてもおいしく和やかなひとときとなりました。

午後、子どもたちと一緒にお父さんお母さん達も貫田シェフの講義を聞き、子どもたちひとりひとりに修了証の授与を行い、みんなで記念撮影をして、2005 年度最後の食育講座は終了しました。

ダシの取り方という基本から始まり、農場体験、豆腐づくり、魚料理、お店見学、そしてパーティー料理まで、全 6 回の講座で子どもたちは確実に成長しました。魚をまるごとさばいて家族に魚料理を作った子、自分から言い出して毎日のみそ汁作り担当になった子、農業漁業に関心を持ち始めた子など、プロジェクトには父母たちからの報告もたくさん寄せられています。そして何より私たちスタッフが一番嬉しかったのは「最初は不安だったけど、食育講座に来て良かった。楽しかった !」という子どもたちの声でした。

『まるごと学ぼう食育講座』は更に内容を充実させ、2006 年度も行います。

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