2001年度 小麦プロジェクト

小麦トラスト・シミュレーション準備状況報告

プロジェクトリーダー 長尾 道子

大豆トラストに続き、 2002 年度スタート予定の小麦トラスト。これは、生産者、製粉会社、加工メーカー、消費者、つまり小麦をとりまくすべての人々が協力しあって、地元北海道の小麦を食べ支えること、そして北海道産小麦のおいしさを再発見することを目的とした運動です。今年はシミュレーションとして会員さんからモニターを募り、スタッフと共にトラストを作り上げて行こうということになりました。

おいしい小麦製品を想像し、多くの方との出会いに胸弾ませながら、意気揚々と案内文書を発送したにも関わらず 1 回目の募集で定員割れ。「この先大丈夫かな…」と不安にかられましたが、再度募集を行った結果、 7 月末日現在で 28 名の申し込みがありました。モニターの皆様、本当にありがとうございます!

早速 7 月 11 日に 10 名のモニター参加者による「麦畑&製粉会社見学」を実施、午前中は江別製粉で麦から粉になるまでの工程を、午後は江別市野幌の粟井農場で麦畑を視察、栽培の苦労や品種の特徴などを詳しく伺いました。いきなり専門用語や複雑な小麦事情を聞かされ戸惑った方もいたと思いますが、皆さん熱心に耳を傾け、その後活発な意見交換がなされました。

8 月には畑の状況と参加メーカーの紹介をしたファームレターの発送、 9 月にはモニター、生産者、農協、製粉会社、製パン・製麺・菓子などの各メーカーが集まって試食会と意見交換会を行います。

そして 10 月から 4 ケ月間、月に一度製品の詰め合わせボックスが届く都度、アンケートや意見交換を行って改善を重ねながら、来年に向けて準備していく予定です。

小麦トラスト・シミュレーション進捗状況報告

プロジェクトリーダー 長尾 道子

7 月後半から全道各地で小麦の刈り取りが始まりました。今年は春・秋小麦ともに平成に入ってから一番収量が確保できた年となりましたが、一部品質面では苦慮された地域もあったようです。そのような状況を簡単にまとめたものと、参加メーカーの紹介をもとに「ファームレター」を制作、 8 月下旬に小麦トラストモニターはじめ関係者へ発送しました。

そして秋播き小麦の種まきが始まる 9 月 13 日、札幌市女性センターにて、トラスト製品の選定&試食ならびに意見交換会を行いました。とかく顔の見えにくいとされる小麦だからこそ、生産者・農協・製粉会社・加工メーカー・モニターが一堂に会して意見交換を行う機会を設け、親睦を深めることを最大の目的としていただけに、スタッフ一同、この日をとても楽しみに、ちょっと不安 ( ) にしていました。が、そんな不安も何のその! 有意義な一日となったのです。

まず午前中は、全員で 10 月から発送予定の製品 (パン、ラーメン、手延べうどんとそうめん、生パスタ、ミルクジャム) を試食、またモニターには菓子パン・デニッシュパン、ラーメンのたれの選定もお願いしました。各メーカーさんは、調理台で自社製品を美味しく調理しながら、製法やこだわりなどへの質問にも答えるなど大忙し。他の人たちは食しながら質問しながらと、和気あいあいとした時間を過ごしていました。

おなかも満たされた午後は小麦についての意見交換会。みんなウトウトするかと思いきや活発な話し合いとなりました。小麦は原麦から粉、そして多様な加工品へと姿形が変化していくだけに、やはりそれぞれの立場から考え方の違いが露に出されました。ですが、皆で話し合うことによって互いに歩み寄ること、相手のことを理解することが可能だと確信、これからのトラスト活動に一筋の光を見出した貴重な時間となりました。

そして 10 月 18 日に第 1 回目の製品発送が終了しました。箱には製品のほか、畑の状況報告や自給率についての論文、製品紹介など小麦にまつわる情報を掲載したスタッフ作成の小冊子「小麦通信」と製品アンケートを同封しました。これらは、このトラストは単に製品を食べるだけでなく、食への、そして農業への問題意識を持つためのものであることを常に意識してもらうため、また来年本格的にスタートする小麦トラストの企画改善のため、 1 月まで製品発送の度に同封する予定です。

また、 11 月 27 日にはトラストモニター企画の第三回目として、トラスト製品のパンを作っていただいているれもんベーカリーへ見学会を実施、小麦粉からパンになるまでの工程を見たり、製法や粉の成分などパン職人からみた小麦の話を伺ったりする予定です。 (焼き立てのパンも用意!)

2002 年度「小麦トラスト」スタート決定!

プロジェクトリーダー 長尾 道子

2002 年度「小麦トラスト」が展開できるかどうか…そのシミュレーションとして行った今年度の活動も、 2 月 5 日の全体会議をもって無事終了しました。環境サポートセンターで行われた会議は、モニターやメーカー、スタッフ合わせて 17 名の参加 (北見市のメーカーさんも参加) があり、みんなでこれまでの運動内容を振り返り、アンケートをもとに問題点や改善点、希望や要望などそれぞれの立場からの率直な意見交換がなされた有意義な会となりました。事務局はじめスタッフやモニター、メーカーの皆さん、一年間本当にお疲れ様でした。

この運動の最大の問題は、「小麦」は本当に顔が見える流通が可能なのか、ということでした。しかし、生産者の方たちを始め JA などの協力により、顔の見える原麦の流通が可能となり、 2002 年度のスタートを確定することができました。また、運動の規模も拡大することから、モニターや参加生産者の中からスタッフも増員することになり、すでに四月スタートに向け討論が繰り広げられています。

また、今年 1 年流れを作るにあたって、様々な業種の人たちとつながって突っ込んだ話し合いができたことも貴重な体験でした。これからもこの「つながり」を大切に、また新たな出会いがあるような魅力ある運動になっていったら…と思っています。

2002 年度無事に「小麦トラスト」が展開できるのも、この運動の主旨を理解して動いてくれた多くの人達の想いの賜物です。本当にありがとうございます。

シミュレーションを行ったとはいえ、まだまだ問題が山積みです。参加者に自給率向上の必要性や、農業との関わりを知ってもらえるような運動にするためにも、スタッフ一同、意思の疎通を図りながら、来年度に向けて取り組んでいこうと思っていますので、今後もご協力よろしくお願いします。

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