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おとなの食育トーク学習会報告

10月4日、かでる2.7にて、おとなの食育トーク2025 第2回を開催しました。
この日は、一昨年度から続く大きなテーマ
「日本の食の未来」さらに昨年末の気候変動シリーズの第2弾として
「温暖化が進む北海道の海 ~魚たちの現状を考える」
と題し、北海道立総合研究機構 水産研究本部
本部長の星野 昇さんをゲストに、北海道の海の現状から気候変動と私たちの食について参加者とともに考える学習会を行いました。
星野さんのお話を以下にまとめました。

北海道の水産物の、なんと日本全体の 20~30%を占めており、ホタテガイ、サケ、スケトウダラ、コンブなど、日本の食文化を代表する水産物の大半が道産。
もちろん「海が広い」のも理由のひとつですが、近海に様々な水産生物を育み、南方からは多くの水産生物が来遊する「地の利」が起因しています。

まず、北海道の「地の利」 とは?
北海道を囲む日本海、太平洋、オホーツク海にはそれぞれに特徴の違う海流が流れており、一年間の水温も、海の栄養状態の様相も、全く違います。
それぞれの海洋環境に合った特徴をもつ水産生物が育まれ、来遊し、そこに漁業が栄える。
それが地の利に支えられた水産王国北海道の姿です。
しかしいま、海は確実に変化しています。
日本周辺の海面水温は、ここ 100 年あたり 1.33℃のペースで上昇しており、北海道周辺では特に夏~秋の海面水温が未曾有のレベルに達しています。
集中的な豪雨・豪雪の頻度も増えており、河川の増水とそれに伴う沿岸域の水質変化や波浪による漁具“・施設の損壊のリスクも年々高まっています。

では水産生物への影響は?
夏季の海面水温の上昇は、生活環境を浅海や表層域に持つ水産生物に、特に道産水産物の代名詞であるホタテガイ、サケ、ホッケ、コンブ“・ウニ等にはすでに深刻な影響が生じています。
道東太平洋に来遊するマイワシやサンマ、スルメイカ等の漁獲変動は、海面水温の変化だけではなく、黒潮大蛇行といった海流の流れ方や、魚種間での餌の競合など、様々な要因が重なるため解釈がいっそう難しいのです。
その一方で、ブリやフグ類などニューフェースの来遊が激増し有効利用が急がれています。

ではその現状にどう向き合うのか?
ホタテやサケなど本道水産業の屋台骨を維持するための調査研究、新たな資源を利用するための技術開発を引き続き強化していく必要があります。
不安定な天然資源に依存した漁業に代わる業態として、新たな養殖業へのチャレンジが増えていますが、持続的な事業として成立させるにはクリアしなくてはならない課題も多い。
そして何より重要なのは、人間もまた水域生態系の一構成者であることを自覚し、日々の暮らしの中で、海の環境とそこから得られる食料の尊さを思う力ではないでしょうか。

星野さんのお話を聞いて、北海道の海に大きな特徴とその環境に適った海洋生物にこんなに違いがあることを再認識するとともに、消費者としても魚をより好みせず、「獲れた魚を上手に食べる」ことが、漁業を支え持続可能な食に繋がることを改めて実感しました。