『人も動物も満たされて生きる~家畜は物ではない。感受性のある生命存在である!』

アニマルウェルフェア学習会
『人も動物も満たされて生きる~家畜は物ではない。感受性のある生命存在である!』

■日 時 3月4日(土)13:15~15:40 (12:45開場)
■会 場 かでる27 310会議室


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乳牛のアニマルウェルフェアについて学習しました
3月4日に29名が参加して、帯広畜産大学畜産学部講師の瀬尾哲也先生から「アニマルウェルフェアとは~乳牛の幸せについて考える」をお聞きしました。
人は食料がないと生きられないが、食料は未来永久的に手に入れられるものなのか?安全で安心できるものを、安くいつでも安定的に手に入れたいと考えているが、作り手のことを考える機会がない。本来食料は自分で作るもの、でなければ農民から分けていただくもの。人口の4%未満の農家が皆の食料を作らないといけない。農業の大規模化は過疎を招くが、国からの補助金は多くの牛を飼い多くの乳を得る規模拡大のために費やされる。昭和40年の平均飼養頭数は3.4頭だったのが平成27年は77.5頭と大規模化が進んでいる。また、1頭当たりの乳量は増えているが繁殖能力は逆に落ちていて牛に無理がかかっている状態と思われる。自然を受け入れる農業から克服しようとする農業へと推移してきたが自然は克服できるものなのか?牛の幸せは牛に聞いてみないと解らないが、寄り添う事は出来るし、不十分とはいえ科学も役に立つ。ストレスが少ないと乳量が増えるというデータもある。動物は感覚を持った生き物で動物の立場でとらえるのがアニマルウェルフェアである。

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これまでの研究知見から農家の取り組むべき事項を定めたもので評価するアニマルウェルフェア認証制度を作った。例えば、動物ベースでは汚れ、床ずれ、しっぽ折れ、外傷など多くないか?蹄の状態はどうかなどを見る。施設ベースでは給水、つなぎ方の自由度、カウトレーナー(排便をベッド外でするように電気を流した棒を背中の上方に置く)の状態などを見る。管理ベースでは断尾、ミルクをバケツで飲ませる、子牛を鎖でつなぐ、などをチェックする。アニマルウェルフェアに興味を持ってもらうきっかけになればと考える。
このままの生産性拡大農業は未来の子どもたちへは続かないと思うので
・手間のかかっている食べものを
・食料を少しでも作ってみる
・自分が望む作り手とつながる
といった消費者としてできることを提言していただきました。

 

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次に6頭の牛を大切に飼っているクリ―マリー農夢代表の佐竹秀樹さんから「クリ―マリー農夢のアニマルウェルフェア」についてお話を伺いました。
牛は牛舎の中も外も自由に行き来でき、冬でも外で日向ぼっこする。牛舎は土の上にわらを敷いている。分娩房で母牛が子牛と過ごす時間は大事で初乳を吸わせている。繁殖力が良くなると聞いたのでかぼちゃを食べさせている。濃厚飼料も与えるが乾草は好きなだけ食べさせる。一般的には乳牛は繁殖性が悪くなるため平均2~3産(1年1産、10ヶ月乳を出し2か月休む)で廃用牛として屠畜されるところ、クリ―マリー農夢では平均8産と牛を長く飼う。乳牛は大事に飼えば10産でき、4産位から意思通じ合う気がする。

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牛乳の定期配達は120軒あり、夏の暑さで乳量が減ると配達休む場合もあるが理解いただいている。手が回る範囲で飼育したいので、需要に合わせて頭数を増やそうと思わない。食べものがどういう風に出来るか関心持って見に行ってほしい。クリ―マリー農夢は「酪農教育ファーム」になっているのでいつでも見に来て下さい。
という佐竹さんのお話の後、実際に牛乳を試飲し、質疑応答や意見交換を行いました。

 

1034「牛乳飲む人減っていると思う。牛乳もっと高くていい。適正価格は農家が再生産できる価格で大事。」牛を飼っている参加者からは「消費者との距離感じる。生産者閉鎖的な部分ある。肉になるなら残さず食べてもらいたい。屠畜場見てほしい。」「消費者も食べたり飲んだりして生産に携わっている。食べるものに関心持ってほしい。牛乳の道内消費量少ない。」「生乳を輸入している状況で増産必要なところでアニマルウェルフェアを追及するか、それともメガファームに向かうか?アニマルウェルフェアと生産性、価格は折り合いをつけるのが難しい。価格帯は幸せといえるか?生産者もメリットないと取り組めないがアニマルウェルフェアを一歩一歩進めていくしかないと思う。」「『いのちの食べ方』という映画とても良かった。上映会とかできないか。」など活発に意見が交わされました。

 

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終了後、少量ではありましたが、佐竹さんのバターやチーズを購入できました。もっと食べたい方はぜひ農場を訪れてください。
アンケートからは次のような声が寄せられました。
「これからの農業の課題として消費者と農家がつながっていくことが1番なのではないのかと思いました。」
「一般的な乳牛の飼育の仕方、その他の状況など良く解りました。『顔が見える自分の望む作り手とつながる』という所に非常に共感しました!農業王国北海道だからこそできることがあると思います。」
「アニマルウェルフェアの農家さんがたくさん増えてほしいです。佐竹さんのお話から~食べもののプロセスに興味を持ってもらい、いろんな所へ行き、選択できる目を養ってみてとおっしゃっておられました。ぜひ佐竹さんの6頭の牛さんたちに会いに行ってみたいと思いました。農家さんの大変なお話も伺い、いろいろ考えさせられました。」
「お金を出しても買えなくなる…本当にその通りだと思います。子どもたちの将来を考えると今この時にしっかり考え、行動していかなくてはと改めて思いました。」
「フリートークで色々な意見が活発に出てよかったと思います。佐竹さんの牛乳おいしかったです。
誕生した時から屠畜までアニマルウェルフェアで一生を終えることができる酪農が理想と思います。そういう理想が現実に近づける活動を応援したいと思います。」

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