第3回 11月12日(土) 学習会 「えこりん村の豚生産事業の取り組み」

 豚のアニマルウェルフェアについて学習しました

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 11月12日に18名が参加して豚の育つ環境について学習しました。

えこりん村の豚生産事業の取り組みについてお話いただいたのは株式会社アレフ恵庭事務所農業研究部分析センターの安西みゆきさん。「食」は「人を良くする」という企業理念のもと、羊を65haの草地で飼い出荷していたが、余力があったので豚の放牧も始めた。豚は自由に走り回り、あちこち掘り返して柵などもこわしてしまう。豚飼育について研究を始めたが、知識がなかったので松木洋一先生(日本獣医生命科学大学名誉教授)から教えてもらったことを実践し、自家繁殖や人工授精にもチャレンジしてきている。森に放している母豚は配合飼料の他に草や虫、木の実も食べる。ハウスがあっても昼は殆ど森の中で過ごし、足腰も丈夫で健康に育っている。断尾、牙切りはしないので父豚は牙が鋭くストールで飼っている。分娩房でのストレスをどう軽減するか考え、広めの子育て舎で母豚2頭をペアにしたグループ子育てをしている。抗生物質はほとんど使わないがPEDのワクチンは母豚に投与し、乳から子豚に移行するようにしている。性成熟してくる月齢まで飼うとうま味がのってくると言われたので、224日ほどで120㎏くらいまで育てて出荷している。「豚に聞いてみなさい」の教えを基に、豚の望むような体制を整えているが、経営的に厳しい部分もありそこが課題と感じている、などお話をしていただきました。
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 帯広畜産大学畜産学部講師の瀬尾哲也先生からは「豚飼育の現状と問題点」をお聞きしました。

1028 豚は一般的には約1.5㎏で誕生して6ヶ月115㎏で屠畜される。豚放牧のメリットは科学的には解らないものの、正常行動を発現でき、病気や死亡率が少なく、水っぽいムレ肉になりにくい。運動量が多くよく食べるためエサ代が余分にかかる大変さはある。豚は本来探査行動と採食を6~7時間行い残りの時間は休息という生活で、暑い時は泥浴びや日陰で体温を下げ、寒い時は群れ集まる。きれい好きでトイレと寝床を別にするが、豚舎で暑いとき仕方なく糞を体につけることがある。母と子からなる母系群で行動し、分娩の際は群れから離れ巣作りし、10日ほどで子豚と群れに戻る。動き回れない分娩ストールでは巣作りができない、子離れできない、排せつもその場でするしかないなどのストレスがかかる。ヨーロッパでは麻酔無しの去勢は禁止しているが日本ではほとんど麻酔しない。歯切については日本では牙を抜くのが一般的だがEUでは先をやすりで削り抜かない。断尾もEUでは禁止だが、日本では行う所が多いなど、まだまだ豚にとって日本は居心地が良くなさそうです。

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 お二人のお話のあとお茶を飲みながら質疑や意見交換をしました。豚の放牧をやめた所の理由についての質問では、豚肉が等外扱いになり売り先を見つけるのが大変など、良いものでも評価されない実態も知らされました。また、豚舎で飼う場合でも豚がより過ごしやすくするためにはどうしたらよいか?という質問には、頭数を減らしたり、敷き藁を多くしたり、きれいにする等の方法が紹介されましたが、いずれもコストがかかることで、消費者が何を基準に購入するかに関わってくると思います。

アニマルウェルフェア畜産協会ではアニマルウェルフェア認証マークを出願登録準備中で、来年にはマークの付いた牛乳がお目見えする予定ということで、次回学習会では是非認証マークの付いた牛乳を試飲したいと企画を練っているところです。次回学習会は2017年3月4日に行います。

くわしくは2017年1月発行の会報同封のチラシをご覧ください。

第3回 11月12日(土) 学習会 「えこりん村の豚生産事業の取り組み」ちらし

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