1999年9月 生産者訪問ツアー

自給の可能性を探るツアー」 報告

たくさんの出会いに充実の一日

9 月 8 日、朝 8 時前に札幌テレビ塔前を出発。総勢 16 名、 29 人乗りのマイクロバス、余裕タップリ。今回の学習ツアーの目的は、地域のなかでの地産地消の可能性を探る、といった気楽なものでした。ところが、出会った人達の前向きな姿に、限りなき可能性を感じたツアーになりました。

まず、栗山の南空知地方卸売市場。責任者の佐藤さんが発する威勢の良いセリの声が、バスを降りた耳に響いてきました。買人は、地元周辺の小売店や加工業者。ここでの価格の付け方は、まず出荷する生産者や業者が、あらかじめ希望価格を市場に伝えます。セリでは、落札価格を希望価格に近づけるように、丁々発止の感じで進めていました。生産者と小売店を直接結ぶ地方卸売市場の役割を、ここ南空知地方卸売市場では今でも引継いでいました。松下さんの話では、佐藤さんの個人的な力量が大きいとのこと。

次は市場から十分のところにある、北海道の米で日本酒を造っている小林酒造。

着いてまず感じたことは、酒造会社が消費者に向かって 1 歩踏み込んできている姿勢でした。地域の人が、イベントをするとき使用できるように、設備・広場を敷地内に設置。もともと地酒は、その地域の生産者が米を酒造店に持ち込み、酒造店は造った酒を生産者に手渡すことで成り立っていました。小林酒造が、北海道の米で酒を製造している姿勢こそ、本来の地酒の姿です。おみやげのお酒を買って、次の現場、長沼へ。

生産者が、地域の食材を使って料理を提供する、長沼のレストラン 「ハーベスト」。開業 5 年で年間 5 万人のお客さんという繁盛。圧倒的に女性客。

オーナーの仲野満さんは生産者。その仲野さん、 20 才くらいの頃は、畑で大量作付け・大量収穫を目指す生産者だったとのこと。 25 才の頃、数量だけを追いかけている生産に 「食べものを作っているはずなのに、モノを作っているんではないか…」 と疑問を抱く。そこで 「自分で作った食べものを、直接食べてもらおう」 と、一念発起。ログハウスのレストランを三年かけて完成。食材へのこだわり。まず、自分で栽培した農産物。次に、地域内で入手できるもの。次に、北海道産。

食事をしているところへ南幌の製麺工場、「サッポロ麺匠」 の山下さんが参加してくれました。サッポロ麺匠は、北海道の小麦でラーメンを製造している製麺所です。ラーメンは、「そば」 と違ってスープにこだわるために、麺の素材まで考えないことが多い、とのこと。サッポロ麺匠さん、「需要があれば、メーカーも国産小麦を使うようになります。消費者が、お店に要望していけば、お店も小麦にこだわったラーメンを仕入れるようになります」 と消費者の声が、自給に大事と強調。

いよいよ、コースの最終地点。江別のライスセンター。籾を使って、米を乾燥させるという機械を使って、天日乾燥同様の効果を実現したとの説明。米の自由化にともなって、ホクレンに頼った販売からの脱却を狙った江別の試みは、これからの道内各地の米の販売に、少なからず影響をあたえていくように感じました。地域で考えて、地域が生き残っていく、そんなライスセンターでした。

予定通り午後 4 時半、テレビ塔にて解散。「充実した研修でした」 「この内容で、 2 千円は安い」 「楽しかった」…。疲れも吹き飛ぶ参加者からの感想でした。

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