1999年7月 生産者訪問ツアー

「増田農場見学・交流ツアー」 報告

学習プロジェクト企画の第 1 回目、生産者訪問ツアーが 7 月 25 日 (日) に行われました。「食の自給」 向上のため、生産現場、生産者の想いなど知っていただくための体験ツアーです。今回、お訪ねするのは、深川の増田農場。今にも雨が降りそうな空模様にもかかわらず、皆さん 「畑へいくぞっ! 」 スタイルで集合。我々、スタッフ 4 人を含め、満員のバスは深川へ向け出発です。車中ではまず自己紹介。「北海道の雄大な畑に触れてみたい」、「農産物の作り方をもっと詳しく知りたい」、「自給率向上のため、私にも何か出来るかと思って」 など参加された皆さんの想いは様々。ほとんどの方が初対面にもかかわらず、ほんわかした空気が車内を包みます。自給率のクイズなどしているうちに北空知平野を一望できる山の上の増田農場に到着。増田昭啓さん (才) が出迎えて下さり、さっそく畑の見学です。アキコとは秋に種をまく小麦の事。雪ノ下でジッと春を待ち、雪解けとともにぐんぐん成し 7 月下旬頃刈り入れするのですが、雪解けが遅かったりすると種が腐ってしまったり、結構管理が大変なのです。少し丘を下って、化学肥料や農薬を使わない小麦畑へ。さすがに草ボウボウです (?) 。一掘り程、皆さんに麦を刈っていただき、お土産に。 6 反の畑から収穫出来るのはたぶん 2 ・ 3 俵 (1 俵 60kg) と聞かされ、驚きの声があがりタメ息ももれました。この間も麦の品種の違いなど熱心な質問が続きます。さらに丘を下ってじゃが芋畑へ到着。じゃが芋掘りを体験していただき、掘ったじゃが芋もお土産です。

この日最後の見学は鶏舎です。増田さんは鶏をより自然に近い形で飼育しています。もみがらを引き詰めた鶏舎では元気そうな鶏たちがコケコッコーと遊びまわつてます (と人間には見える) 。エサも自分の畑や地域で収穫した野菜くずが主流。鶏ふんは、もちろん畑の大事な肥料となります。すべてを自分の畑、地域の畑でまかない、返していく地域型の循環農業が理想という増田さん。自給率向上に向けての姿がここでも見られます。

お昼はとり肉のバーベキュー。とりたての野菜も焼いたり、サラダになったり、漬物になったり。ホコホコのじゃが芋、南瓜もさる事ながら、おにぎりの美味しかった事! 近隣の上島孝治さんがたんせい込めて作ったお米を持ち込んで下さいました。きわめつけは、その炊きたてご飯にとりたての生卵をかけて食べた時 「ワオーッ! 」 という感嘆の声が思わず上がったのです。食後、増田さん、音江農協理事山崎さん、上島さんを囲んでの交流会。収穫のご苦労や喜びなどにまじって、深刻な話しも聞かされました。何よりも離農者が多い事、深川一帯でも百軒あった農家がここ十年で五十軒になってしまったのだそうです。いったいどこに原因があるのでしょう。行き当たりばったりの日本の農業政策に対しても声を上げなくてはいけないでしょうし、流通はもっと頑張って農作物を売る方法を考えなくてはいけないでしょうし、消費者の方々は一つ一つの野菜、一粒一粒の米や麦にもっともっと価値を見出して欲しい。広大な北空知平野を眼下に改めて思いました。様々な人が様々に関わりあいながら自給という布を織っていく。その布は畑の心地よい風に吹かれ、ただなびいている。そんな事で良い。そんな時空間でよい。自給ネットは皆さんと一緒にたくさんの事を考えたい、したいと参加された方々を見送りながら思いました。また、どこかでご一緒しましょう。

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