2002年度 学校給食プロジェクト

給食を子供たちと一緒に – 先生の存在の大切さを実感

7 月 15 日昼、札幌市北区あいの里の小学校に、学校給食プロジェクトの会員 9 名が集合。実はこの日、小学校の好意によって、子供たちと一緒に学校給食を食べる機会を持つことができたのです。それまで、給食センターでの試食は体験していますが、普段の日に子供たちと給食を一緒にしたい、と希望しましても断られてきました。そのため会員一同、期待と不安のなか各クラスへ。

1 年生、 4 年生、 6 年生の 3 クラスに分かれた会員は、給食の準備から立会い、子供たちと会話しながらの食事、さらに片付けまでを体験し、会議室に戻って、栄養士さんと主任の先生を交えての懇談会。

いろいろな感想や意見が活発に出され、とりわけ各クラスの報告が進むと、クラスによって子供たちの給食に対する姿勢が違っている、ということが議論の中心になりました。その日の献立にしたがって、比較的好き嫌い無く食べているクラス。一方、好きな惣菜だけを選んだり、極端に少なく盛ったり、なかにはダイエット狙いのような小食に徹したり、一部、そのような子供のいるクラス。聞いていくと、そのクラスの担当の先生が、給食をどのように理解しているかによって違いが現れてくる、ということのようでした。

食育。子供の時代に体験した食事が、その人の食生活に大きな影響を与えていく、と言われています。欧米では、和食が健康に良いと評価されているなかで、なぜか国内では欧米型の食にかたよっています。食育の立場から、栄養士さんは学校給食に和食を採り入れています。それは、子供たちに和食の味覚を体験させたい、という想いがあるからです。

先生の対応によって、子供たちの給食に対する姿勢が違ってくる。参加した会員は、そのことを実際に体験いたしました。さあ、どうしたら先生に食育の大切さを理解してもらえるのでしょうか。

置戸町でみた自然体な”食農教育”のすがた

10 月 17 ・ 18 日、事務局やプロジェクト参加者など 7 名で、網走管内置戸町に学校給食の試食と給食施設の見学に行ってきました。今回の訪問は、同町学校給食センターの管理栄養士・佐々木十美さんの招きで実現したものです。

町内の学校給食の食器には、 20 年前から町特産の工芸品「オケクラフト」が使用されています。その食器に相応しいものをと、食材や味にこだわった給食は子どもたちや先生方から大好評と聞き、期待に胸躍らせながら 1 日目は勝山小、 2 日目は境野小を訪問しました。

両校では、先生方と子どもたちが全員で、大きな木のテーブルの前に座って一緒に給食を食べます。その中に一同も一人ずつ加わったところで「いただきまーす! 」。特製の”辛~い”カレーライスを「すっごく辛いよ、でもおいしいんだっ」と言って元気よくほお張る子どもたち。「ごちそうさまでしたー! 」の後には、給食で一番好きなメニューや要望などを聞いてみました。すると、「切り干し大根! 」「イワシのみそ煮! 」「ふのりのみそ汁!! 」。「納豆をもっと食べたい」「漬物が好きだから献立に入れて」などなど。朝ごはんはちゃんと食べてる? との問いには「一日 3 食たべるのは当たり前! 」。頼もしい回答の連続に一同は驚きながらも感激一入。

最近、「食農教育」としての学校給食の展望が語られるようになってきましたが、「教育」とはいっても決して肩肘張ることのない、自然な取り組みの姿勢を先生方や子どもたちの様子から垣間見た気がしました。もちろん、それは佐々木さんをはじめ関係者の方々の長年にわたる取り組みと町や学校の協力に裏付けられたものです。では、様々な制約を抱える学校では何ができるのか。今回の訪問で見たこと、感じたことを今後の活動に活かしていきたいです。

また、給食センターでは 3 年寝かせた味噌を、給食用トマトを栽培している農家のハウスでは、完熟をごちそうになりました。お腹も心も満たされた一同。ここまで給食の現場に触れたのは初めての体験でした。佐々木さん本当にありがとうございました。

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