2003年度 小麦プロジェクト

小麦トラスト二年目に向けて            事務局長 大熊 久美子

 

昨年、全国でも初めてのスタートを切った小麦トラスト。小麦を通して生産者、 JA 、製粉会社、加工メーカー、消費者と「作り手から食べ手まで」すべての段階の人の顔がしっかり見える関係が築けました。昨年度のトラスト参加者から回答されたアンケートには「道産小麦製品の意外なおいしさに驚いた」「ファームレターや通信を家族みんなで読んだ」「生産地がとても身近に感じられた」「価格 (安さ) だけでものを買わないようになった」「北海道の生産者、加工業者の作ったものを、北海道に住む自分達が食べることの意義を感じた」などの声がたくさん寄せられ、スタッフ一同とても元気づけられました。小麦トラストの目的である 『道産小麦 (製品) のおいしさの発見』 『生産地 (者) と消費地 (者) を近づける』 『作り支え食べ支えることにより、北海道の農業と自分達の食を守る』 ことを、参加者のみなさんに感じてもらえたなら、運動を始めた事は成功だったと言えると思います。

二年目の今年度は、生産・加工・消費の距離を更に近づけ、お互いの信頼関係を深めることを目的に活動したいと思います。また、トラストの生産者からの「自分達の作った小麦が、こんなにおいしい製品になるとは驚いた」との声を受け、トラスト小麦を使った料理講習企画のような事も考えて行きたいと思います。

今年の小麦は、ホクシン、ホロシリ、ハルユタカともに順調に成育しています。小麦トラストもまだまだ参加者募集中です。会員のみなさんのご参加をお待ちしています。

小麦畑見学体験ツアー報告 – 江別、野幌の小麦生産者を訪ねて

プロジェクトスタッフ 本村 雅幸

今年一番の夏らしい天気に恵まれた 7 月 26 日、「小麦畑見学体験ツアー」が行われました。今年も、小麦トラストの指定産地の一つである江別市を訪れ、トラストに関わる人達との交流そして小麦を楽しんでもらう企画満載の内容となりました。午前 8 時半、参加者 22 名、スタッフ 4 名を乗せたバスは、最初にトラスト小麦の製粉を引き受けている江別製粉の工場に向かいましたが、この日は生憎の休業日のため、外景からの説明となりました。石狩大橋を渡った JA 道央の集荷施設は、トラスト生産者が自家乾燥させた小麦を集荷後、調整・基準検査をする施設。 JA 道央の小林英昭さんの調整、小麦に対する現状と品質・規格についての厳しさ (ちなみに昨年のはるゆたかで 57%しか等級に入らなかった) についてのお話を聞ききました。次は、美原生活改善センターに移動して、昼食となる手打ちうどん作りです。ここから合流の参加者、スタッフ、そしてご協力頂いた生産者、農業改良普及センター、農協、江別市役所の方々と 60 名による手打ちうどん作りです。指導は、自他ともに認める農業改良普及センター所長村田名人。その軽快なトークと技で参加者は楽しくうどん作りができました。うどんも茹で上がりいよいよ昼食です。江別の新鮮野菜のサラダと卵、小林牧場の搾りたて牛乳、差入れのれもんベーカリーのパンそして自作のうどんと江別をまるごとおいしく食べちゃいました。楽しい食事の後は交流会。今回は、小麦に関わる様々な方々が参加されたので交流会も充実。中央農業試験場研究職員の佐藤さんの小麦ミニ講演会に始まり、江別製粉の安孫子社長から製粉技術について、そして生産者の片岡さん、高橋さんからは、生産が難しいハルユタカの春播きから初冬播きへチャレンジした経緯などを伺いました。参加者も日頃の疑問を質問して時間がたりないくらいでした。次はいよいよ体験です。最初は外で脱穀と石臼挽き。みんな楽しくて小麦をもちっぱなし、食後の運動には良かったみたい。そしていよいよ小麦畑へ。片岡さんの初冬まきはるゆたかを見学。子供たちは、一面に広がる小麦畑の間を歩いてまるでその光景は、写真で飾らなくちゃと思わせるくらいです。小麦の手刈りも体験した後は、トラスト畑でコンバインの刈取り作業を待機している萩原さんの畑へ。参加者 3 人を乗せた大型コンバインの北海道らしい雄大な作業風景は圧巻でした。今年はいまだ適宜の晴天日が少ないため、畑には刈り取りを待つ秋播き、春播きと品種の違う色とりどりの美しい小麦のじゅうたんが敷き詰められていました。思い出多いこのツアーを支えてくれた協力者の皆様に感謝。秋の製品が楽しみなツアーとなりました。

一味違う今年のトラスト

事務局 蓑島 礼子

2 年目の小麦トラストも天候に左右された年でした。冷夏で害虫の発生は抑えられたものの生育が遅く、収穫時期を大きく遅らせました。小麦のリスクは収穫時の雨です。登熟した小麦収穫期の雨は、一気に穂発芽を起こし、成分が変化して製品になりません。台風 10 号接近に見舞われた収穫間際の 8 月中旬は、ハラハラの時期でした。しかし結果は、江別のハルユタカ、ホロシリ、美唄のホクシンとも収穫量は例年になく多い年になり、それぞれの小麦は、今 JA (農協) の調整作業にかけられ検査を待っているところです。

生産者、メーカー、会員そして口コミで広がった 136 名の参加者に予定より 1 月遅れの 12 月より製品発送の予定です。

今年のトラスト製品は、生産地江別のトマト、美唄のハスカップを使用した地場農産物と組し製品化しました。趣旨に賛同されたメーカーさんに道産小麦や素材農産物をより生かしてもらっています。お楽しみに。

さらなる進展をめざして

事務局 蓑島 礼子

11 月~ 2 月の 4 ヶ月間発送を予定していた小麦トラスト製品ですが天候や作柄状況から、今年も 12 月~ 3 月と一ヶ月遅れの発送となりました。すでに 12 月~ 1 月の 3 回の発送を終え 4 回目の最終製品を 3 月に無事発送の予定です。 2003 年度のトラスト参加者は 144 名、継続会員 72 名、新規参加者は 72 名となり、自給ネット会員は 54 名が参加しています。トラスト製品を食べた参加者の方からスタッフ宛に感想などが寄せられていますので紹介します。東京から「北海道の食を楽しみ、生産者と加工メーカーと消費者との 『顔の見える関係』 の構築ができるなんていいですね。」「パンは家族の胃袋に収容済でした。『甘味の程度が秀逸で大変美味だった』が私への届け物」と食べることが出来なかったお父さんの声や「賞味期限があり、量が多過ぎ。原料の粉で手に入れたい」などです。

パンづくり講習会

11 月 21 日 (土) 西岡の「れもんべーカリー」の工房に於て川中龍雄部長の指導で開催しました。遠く深川市からの参加や御夫婦での参加など 20 人を越す応募があり、年々人気が高くなってきています。作業場の関係で 10 名の講習会でしたが、参加者の男性 3 人も、 500g の粉をこねそれぞれの家族の顔を思い描きながらパンづくりに奮闘していました。

意見交流会

3 月 13 日 (土) 生産者・メーカー・消費者が一堂に会し意見交流会を行ないます。「作り手・食べ手」から出されるトラストへの意見を参考に次年度企画を進めます。

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