学習会 2011年

「TPPとこれからの農業」をテーマに自給ネットワーク会員対象の学習会を開催しました。

講師を北海道大学大学院農業研究院助教の東山 寛先生にお願いし、前半はTPPの全容とそれを見据えたこれからの農業について講演をしていただき、後半は東山先生を交え、参加者それぞれの立場から疑問、意見などを出し合い活発な話し合いをすることができました。

前半の講演では、TPPがいかに多くの問題を抱えた危険な協定であるかのわかりやすい説明があり、 参加者からは、TPPに参加することにより農業分野のみならず、あらゆる分野を市場経済原理の中に巻き込み、消費者の選択の自由を奪う方向に進むとしか考えられないなど、知れば知るほどTPP加盟に反対すべきだとの感想が寄せられました。

生産者、流通加工業者、消費者のいる自給ネットワークならではの学習会でした。また、今回はこれまでの活動をとおし、関係を築いてきた生産者や消費者の皆さんにも声をかけ、目指すべき農業と食のあり方について意見交換を行うことができ、引き続き学習会を望む声も上がりました。

テーマ 「TPPとこれからの農業」

日 時  2011年4月15日(金)  18:00~20:45

会 場  かでる2・7 1050会議室(10F) 札幌市中央区北2条西7丁目

参加数  会員    21名 (消費者12,生産者5,流通業者4)

会員外参加者 9名 (消費者3,生産者5,流通業者1)

参加費  会員 無料  一般参加者 300円

講 師  北海道大学大学院農業研究院 農業経営学研究室 助教 東山 寛氏

 

学習会「TPPとこれからの農業」参加して

                        泉屋 めぐみ

FTAやEPAなどについても学習会をしましたが、さらにTPPとは?中身については詳しくはわからないけれど、日本の食料自給率をさらに引き下げる、ひいては北海道農業を壊滅的に破壊するようだとの懸念から反対の署名なども行ってきました。そのまさしく直感的な判断に間違いはないと信じていますが、やはりもっと詳しく知ることでまわりの人にももっと強力に反対署名のお願いが出来るのではないかと思い、会場に足を運びました。

TPPは「環太平洋パートナーシップ(Trans-Pacific Partnership)協定」のことで、まず2006年にシンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリの4カ国で「P4協定」が結ばれ、現在の拡大TPPは2010年になってアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、やや遅れてマレーシアが参加した9カ国によるもので、これに日本が加わるかどうかが問われている。P4協定の特徴は、「ハイレベル」「包括的」「戦略的」の3点に要約される。

「ハイレベル」⇒物品の貿易は例外(除外)品目がなく、すべての関税を撤廃す協定。TPPはFTA(自由貿易協定-Free Trade Agreement)の一種であるが、FTAでは10%の例外(除外)品目が認められるが、TPPは「例外なき関税撤廃」である。*現在のTPP参加国は「世界最強の農産物輸出国の集まり」(アメリカ-穀物、豪州-食肉、NZ-乳製品)となっており、そこに「例外なき関税撤廃」を認める形で参加することは無謀としか言いようがない。

「包括的」⇒物品の貿易や通常の経済連携協定(EPA、Economic Partnership Agreement)に盛り込まれる投資・協力のみならず、サービス貿易、政府調達、人の移動等を含む広い分野に渡る協定である。たとえば、サービス貿易はサービス業者自らが他国に進出して営業することなので、「人の移動」の自由化と「資本の移動」の自由化が条件となるが、それと同時に、日本に進出してきた外国企業が日本で対等な競争条件を確保するためにあらゆる「規制改革」が要求されることになる(これまでの典型は保険市場の開放による外資の参入と「郵政民営化」)。日本医師会は日本がTPPに参入することで、「国民皆保険制度」の崩壊に繋がるものと警告している。アメリカとの関係では、かねてからの「懸案事項」である牛肉の輸入制限の緩和、食品添加物の無制限の拡大、GM(遺伝子組み換え)作物の表示問題などの「非関税障壁」分野でも切り込んで来るはずである。食の安全と医療の両面で国民の生命を危険にさらすのがTPPである。

他にも輸入農産物による国内農産物江の影響の試算や北海道農業に与える影響の試算なども詳しく数字を挙げて教えてくださいましたが、どう考えても誰のとっても良い協定には思えませんでした。「1.5%発言」について聞いた時には、日本という国と国民をどうしようと考えているのかと腹立たしく思いました。TPPに参加することにより農業分野のみならず、あらゆる分野を市場経済原理の中に巻き込み、消費者の選択の自由を奪う方向に進むしか無くなる不安を拭い去ることが出来ません。確信を持ってまわりにも反対署名などを呼びかけていきます。

 

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