2001年 生産者訪問ツアー

有機農業を楽しもう! 体験交流ツアー 報告

この 2 、 3 日はっきりしない天気にヤキモキしながら迎えた 7 月 22 日。NHK 前に集まった 21 人 (現地合流組 7 人) の参加者は作業スタイルよろしく大型バスに乗り込みました。恒例の自己紹介では、有機農業への関心は高く、中には函館から参加されたご夫妻もいました。有機農業生産者の話を聞きたい。畑の土は? 堆肥はどのようにして? と、熱心な参加者による体験交流ツアーとなりました。

今回訪問したのは、長沼町で CSA 農業を運営する、エップ・レイモンド・荒谷明子夫妻の「メノ・ビレッジ長沼」と、有機 JAS 認定圃場を持つ、追分町の小路健男さん経営「無何有の郷農園」の二つの農場です。

メノ・ビレッジが所有する裏山 (森) は 「畑の先生」 とよばれて、そこを奥深く入ると、自然の営みにより育った土壌微生物が棲んでいる腐葉土の大地。生い茂る樹木から差し込む木漏れ日は優しく大地を温め、ここの土壌菌を培養して有機物の分解を促し「ぼかし肥料」が作られる。見学した施肥畑は不耕起の大地。既に刈り取られたライ麦の根は、深く地下に伸び大地を耕し、太陽の恵みをたっぷり受けたかぼちゃ畑になっている。防風林役のライ麦は、雑草の繁殖も抑え、かぼちゃを大地に這わせる。自然の持つ力を借り育てそして大地に返す。小さなアマガエルとトンボたちの群生を目の当りにした時、自然は正直に応えてくれると思った。そして越冬野菜の保管も雪を使った冷蔵庫。豊かな自然の恵みを利用し共存しながら、労力と化学経費を抑えたメノ・ビレッジの農法でした。

昼食は、由仁町で馬小屋をゲストハウスに改装した吉田さんの「ファームふるさむ」。おばあちゃん手作りのきゅうりの漬物。道産小麦を使った 5 種類のパンのランチボックスと新鮮な牛乳。脱サラした「グー・チョキ・パン」店の西澤さん、準備をしてくれた由仁の三田村さん、それに同行したエップさん一家を囲んでの昼食はお互いのつながりをさらに身近なものにした。

午後は追分町の小路健男さんの 「無何有の郷」。まず、圃場を見学、雑草取りが間に合わない人参畑。合鴨を離した水田は、所々イネが無い。小路さんいわく、『離した合鴨が多すぎて稲まで食べられた。来年はもうちょっとうまくやります』 と。収穫の終わったアスパラ畑は網で囲まれ、にわとりが草をついばんでいる。地面は雑草も無いきれいな道だが、ここに入れるのは遅かった。丈の伸びたアスパラの虫は、にわとりには高すぎた。そのにわとりたちの小屋が小路さんの堆肥場である。稲藁と少しの炭を入れた小屋床は微生物も多く、地温を上げる。この床堆肥と緑肥を漉き込んだにんにく畑の土は、驚くほどやわらかかった。「有機農業は土作りから」 と小路さんも言う。まるで大地が呼吸しているようだった。作業は、この 「にんにく堀り」。大地に顔を出している茎を抜くと地面の中からにんにくがあらわれた。茶色く枯れた茎を抜けば、にんにくは土の中。土を掘り起こして出さなくてはならない。専用の鎌で根切りをし、束ねて乾燥準備までしたい。が、思うように進まない手作業。30 人の作業でも畑の 1/5 も終わらなかった。しかし、二つの農場の体験を通して参加者は 『収穫までの作業の大変さがよく分かった。食べ物の大切さを改めて感じた。』 『信念を持って営む姿に共鳴した』 8 歳の少年からも 『にわとりを他の畑でもやればいいのにな』 そして 『自然環境条件を生かした循環農法の素晴らしさに感銘を受けた』 など感想が寄せられた。また、改めて農業や食問題を考える機会になった事も。

有機農業を知る体験交流ツアーの意義は大きいものがあった。

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