2004年度 大豆プロジェクト

プロジェクトリーダー 五十嵐 美由紀

2000 年から始めた大豆トラストは、昨年 90 名の参加で 212 口 (424kg) となり、初めて 200 口の大台を超え、地味ではありますが、着実に運動の輪が広がっています。

当初から生産者としてかかわってきた江別市の松下博樹氏ですが、大豆作付け品種の変更にともない、空知郡北村で水稲・小麦・大豆等を生産している渡辺信一郎氏にバトンタッチすることになりました。大豆の品種も、トヨムスメからツルムスメに変わりますが、少し大粒で品質的には勝るとも劣らない、自信をもってお勧めできる大豆です。

また、小麦トラストとの連携をはかり、大豆を使った製品開発や、お互いのトラスト参加者への情報提供等を行いながら、新たな気持ちで五年目の大豆トラストに取り組みたいと、メンバー一同 (五十嵐・鈴木・上野・清水・秋山) はりきっています。

年間計画

6 月
ファームレター発行
7 月上旬
トラスト畑の土に触れる交流会 
8 月
ファームレター発行
11 月
ファームレター発行
11 月中旬
大豆引き渡し
12 月上旬
大豆料理講習会 
3 月下旬
味噌発送

初めまして北村

プロジェクトスタッフ 清水 のり子

好天に恵まれた六月二十七日、今年度からトラストの新しい生産地になる北村砂浜の大豆畑で「トラスト畑の土に触れる交流会」が行われました。参加者は十八名、若者グループの参加もあり華やかな雰囲気の交流会になりました。援農作業は一、二〇〇坪ある広い大豆畑の雑草取り。百メートル近くある畝に向い、生長を妨げる雑草を抜く作業にかかります。この時期の雑草は、大豆と競うように伸びる為、大方は機械で抜き取りますが、大豆の根元にしっかり兄弟のように居座る雑草は、手で根気よく抜かなくてはなりません。炎天下の中、一人二畝をただ黙々と作業を続けました。畑に腰をかがめてする作業は大変な労働であることを実感し、汗を拭いながら秋の収穫へ期待をふくらませました。今年の品種はツルムスメといい、煮豆にすると柔らかいのが特徴です。また、大豆は繊細で本葉が出る五月中旬ごろにジャガイモヒゲナガアブラムシからウィルス感染する「わいか病」が発生しないように気を遣います。「わいか病」に罹ると葉は矮化し生長が止り生産に影響が出る厄介な病害です。草取りは、密植栽培しているので大変ですが、生産者は、近所の人手による草取りを収穫までに三回ほど手作業で行っています。生産者の大豆に対する思いや苦労が、食べる側の消費者に直接伝わる良い機会に恵まれたと思いました。

草取り作業が終わり待望の昼食。昼食会場の砂浜コミュニティーセンターは、砂浜地区自慢の建物で、館内は近代的設備とバリアフリー構造。地区住民の憩いの場であることを実感しながら、生産者と一緒に昼食テーブルを囲みました。今回のメニューは、大豆のキーマカレー、大豆ポタージュ、新鮮野菜に大豆ドレッシングそれに大豆を使ったビスコッティ (クッキー系) 。デザートは差入れのメロン。毎年好評の盛り沢山の大豆料理に歓声をあげ、「大豆も手を加えると、こんな素晴らしく美味しい料理になるんですね」「美味しいものを食べたい」「美味しいものは、高いとは思わない」など、そして「土に触れることは滅多に無い事なので参加してみて良かった」という声。中でも好評のキーマカレーに「普通のカレーはあまり食べてはくれず、今日のカレーを家で作ってみたい」と作り方を聞く方、茹で大豆の保存法を聞く方ありで、また若い方の積極的な質問に生産者と大いに盛りあがりました。先輩参加者から「これがいいと言う意思表示ができる魅力ある消費者と生産者がいかに手をつなぐかが大事だ」と締めくくり、時間が足りないほど充実した交流会でした。

立派な「ムスメ」に育ちました

プロジェクトスタッフ 鈴木 久士

生産者の変更に伴い、今年のトラスト大豆は産地が昨年までの江別から北村に、品種もトヨムスメからやや大粒のツルムスメに変わりました。

今年の夏は暑い夏で、日差しをたっぷり浴び順調にすくすく育ったトラスト大豆ですが、全道各地に大きな被害をもたらした 9 月の台風 18 号の猛烈な風と塩害の影響で、大部分の葉が落ちてしまいました。豆の登熟期と重なり大豆の実入りを心配しましたが、やや小粒ながら立派な大豆に育ちました。この成果は、渡辺さんたち生産者の、大豆に注がれた豊かな愛情とトラスト参加者の皆さんが暑いさなかに行った草取り作業の賜物であることは確かです。天候に恵まれて 10 月中旬には収穫も無事終了し、十分乾燥させた後、選別にかけられたトラスト大豆ツルムスメは、 11 月上旬に参加者の皆様のお手元に無事お届けすることができました。

今年度から大豆トラスト生産者として参加している北村の生産者グループの「ファームサービス 21 」を紹介します。ファームサービス 21 は空知管内の北村砂浜地区で、それぞれが 10ha 以上の耕作面積をもつ 40 ~ 60 才台の 6 人の生産者で組織されています。 北村の後継者問題や高齢化に伴う生産地の実態などを憂慮したメンバーは、受託組織を起こし、グループの力で耕作をこなしています。 小麦と大豆の栽培管理・収穫作業の請負、北村の農業推進に力を注いでいます。 9 月 15 日には連作防止のため、大豆畑にラジコンヘリで小麦の種子を散布しました。大豆収穫後の畑は、いま、一面に緑の芽 (小麦のホクシン) が出てきています。

好評だった洋風メニューの大豆料理講習会

プロジェクトリーダー 五十嵐 美由紀

2004 年 12 月 19 日 (日) 、札幌エルプラザに於て、大豆トラスト参加者 5 名、一般参加者 8 名、スタッフ 10 名の計 26 名で大豆料理講習会を行ないました。

今年は、大豆パテ、大豆ポタージュ、豆腐レアチーズケーキと今までにない洋風メニューを、スタッフの清水のり子さんが講師となり料理指導をしました。

それに加えて、今年新しい取り組みとして、シロクマ・北海食品さんの協力のもと、トラストの小麦と大豆で作った「大豆食パン」が誕生しました。そのスライスパンを軽くトーストし、大豆パテと野菜をはさんで一緒にいただきました。小麦と大豆の味が口いっぱいに広がり、まさにトラストの味を堪能しました。

交流会では、大豆生産者の渡辺信一郎さんから「みなさんの評価を生産現場に活かしていきたい」というメッセージを、豆腐製造業者のエンドウフーズの遠藤一彦さんからは、遺伝子組み換えについての情報提供をいただき、実り多い大豆料理講習会となりました。

一年をふり返って

プロジェクトリーダー 五十嵐 美由紀

2004 年度のトラスト参加者は、 77 名、 171 口 (342kg) でした。大豆生産者が北村のファームサービスに変わり、地域ぐるみでトラストを支える体制が出来ました。しかし、気象が高温で経過したこと、 2004 年 9 月 8 日の台風 18 号の影響で、本来の大豆の旨味を蓄積できなかった事が残念でした。

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