2004年度 小麦プロジェクト

プロジェクトリーダー 米田 香

2002 年よりスタートした小麦トラストは、今年で 3 年目を迎えます。 2003 年度の小麦トラスト参加者は 144 名 (144 口) で、少しずつではありますが、トラストの輪は着実に広まっています。今年 3 月に行った意見交換会には、生産者、消費者、加工業者、行政合わせて 32 名が集まりました。作り手と食べ手、それぞれお互いの想いを語ることによって、「顔の見える」関係を築くことができました。そして、地場農産物の「作り支え・食べ支え」というトラストの概念を、今後もしっかりと継続していこうという意識もさらに高まりました。

今年度は、相互の信頼関係をより深めるとともに、トラスト参加者の拡大を目標に活動していきたいと思います。 7 月の産地見学交流ツアーは美唄市を訪問します。小麦畑での刈り取り体験の他、美唄の水田で広く実施されている「かおりの畦道」見学や美唄農業に関する話を聞いたり、食事をしながら生産者や JA ・ 行政の方々と意見交換を行います。様々な体験や交流ができる楽しいツアーにしたいと考えていますので、ぜひご参加下さい。さらに 11 月には、北海道大学の留学生とともに様々な国の小麦料理を作って食べ、交流を図ろうという「お国自慢・小麦料理交流会」の新企画も予定しています。スタッフも楽しみにしながら計画を立てています。こうした活動を通して、より多くの人が参加しやすい場をつくり、「顔の見える」トラスト運動を展開していきます。会員のみなさんのご参加をお待ちしています。

年間計画

4 月
会員募集
5 月
参加申込者へお知らせ発送
6 月
ファームレターの発行
7 月
産地見学交流ツアー (報告)
8 月
ファームレターの発行
10 月
パンづくり講習会
11 月
お国自慢小麦料理講習会 (報告 )
12 月~ 3 月
トラスト製品発送、小麦通信の発行
3 月
意見交換会

製品について

  • 2004 年 12 月~ 2005 年 3 月の 4 ヶ月間、毎月 1 回の小麦製品の詰め合わせ (パン、ラーメン、うどん、パスタ、菓子類、小麦粉等) の宅配。製品説明書付
  • 麺類のギフト企画 (友人・知人へ。ご自宅用追加注文に)

啓発活動について

  • 情報紙「小麦通信」発行 (製品発送時に同封)
  • ファームレター発行
  • 産地見学会 (美唄市) 、交流会、パン作り講習会、合同意見交換会
    (トラスト参加の生産者・ JA ・製粉会社・加工メーカー・消費者) 等

参加費

  • 参加費 12,000 円
    4 回の製品代及び道内分送料、小麦通信、農業・その他の情報発信等を含む。道外から参加の場合は、別途差額を頂きます。

黄金色の畑を訪ねて

プロジェクトリーダー 米田 香

去る 7 月 3 日、小麦トラスト参加者を対象に行った「産地見学交流ツアー」はトラストの生産地の一つである美唄市の峰樺地区を訪れました。参加者はスタッフを含めて 27 名、遠くからは深川や名寄からの参加もありました。すっきりしない空模様が気がかりでしたがマイクロバスの中は美唄の事前学習を農業クイズで楽しみながら向かいました。

現地では美唄市役所、 JA みねのぶ、空知中央地区農業改良普及センターの皆さんとご対面。生産者の石川利雄さんから製麺性が良いと言われている美唄の秋まき小麦ホクシンは小麦作付面積 2400ha のうち約 9 割を占め、他の麦と違い背丈があるため倒伏も起こり易い。今年は天候も良く、収穫時期は平年並みの七月二十日頃と生育説明を伺った後に手刈り体験。熟成した麦の穂はカマを当て少し力を加えるだけで簡単に刈ることができました。そして水田の畦道にハーブを移植する援農作業。美唄はこの手法を用いて害虫を防ぎ、有機・低農薬の米作り (ハーブ米) を実現しています。等間隔に植え付けた約 200 株のアップルミントの苗は作業連携良く、あっという間に終了。 3 年前に植え付けられたミントはすでに 50 丈程になり、畦道は甘い香の垣根に成長していました。この後、広大な麦畑の刈り取り出番を待つコンバインや播種機を見せて頂きました。美唄は米生産地でもあり、ライスセンターに置かれた機械の大きさと播種・刈り取り部品を替えながら動かすその精密な作りに参加者は興味津々でした。

作業後は峰樺中学校へ移動し、生産者や奥さん達と一緒に昼食の準備にとりかかりました。昼食用のそば打ちは、峰延手打ちそば愛好会の皆さんと生産者森川和徳さんの指導の下に行い、職人技に参加者の目は真剣そのもの。恐る恐る生地に触れ、慣れない包丁で麺を切りながらも、完成したそばは見事な出来栄え。奥さん達指導の麦人形も、初めて作ったとは思えないほど可愛い人形たちでした。昼食は手打ちそば、美唄名物のとりめし、とれたて野菜のサラダ、漬物、地元の食材で作られた料理のおいしさは格別! 生産者や消費者、約 50 名が一堂に介しての昼食は、まさに「顔の見える」貴重な場でした。食後の交流会では、生産者や市役所、 JA の方々のトラストへ対する思い、参加者の「道産小麦を身近で購入したい」といった話題を中心に意見交換を行いました。ツアー後、参加者から「現在抱えている課題や小麦の市場に関してなど、聞きたいことが多々あったが時間が足りなかった」という声もありましたが、お互いの思いを再確認するとてもよい機会となりました。生産量日本一を誇る美唄の農産物ハスカップを視察した帰路の車内は、刈り取った麦やお土産に頂いたハーブ苗、ドライフラワー用にと髭のぴんと出ている春小麦の「春よ恋」、 買い求めたハスカップなどでいっぱいになりました。 生産地を間近に見て、生産者と交流を図ることにより、更にトラストや農業への思いが強まったように感じました。無事に麦の収穫が終わり、今年もおいしいトラスト製品となって手元に届くことを心待ちにしたいと思います。

トラスト大豆と取り組んだ新製品

事務局 蓑島 礼子

2004 年度の小麦は、幸いにも秋の収穫時期を襲った台風 18 号の影響も受けず、生育期は猛暑の夏だった為、殊のほか収量・品質ともよいものが出来上がりました。今年のトラスト参加者は、 151 名。生産者、メーカーの方も参加し、作るだけでなく、消費者にもなってくれています。そのトラスト参加者の皆さんに、 12 月 17 日から第 1 回製品をお届けします。今年の製品には、新たな企画も盛り込まれています。自給ネットの二つのトラスト作物、大豆と小麦を使った新作のパンです。自給ネットだからが出来る、顔の見える安心な食・製品の組合せです。また、トラスト生産地をもっと身近に感じられるように、地場農産物を生かした製品も取り入れました。昨年は江別の生産者グループが作ったピザ (トマト) ソースにピザクラフトでしたが、更に今年は、美唄高校で作ったハスカップジャムにスコーンを組み合わせました。これを機に、トラストが更に広がることを期待しています。

また、暮れのお歳暮時期に向けて、トラスト小麦を使った「はるゆたか粉」と「ラーメンセット」の 2 種類をスポットで取り扱いました。延べ 60 人の方が、自宅用に、親元に、そして友人にと申し込みをしてくれました。美味しいものを食べて、北海道農業を一緒に応援してほしいと思います。

トラスト運動は大勢の人が参加して初めて広がりを持ちます。自給ネット会員の皆さんには、是非トラストにも参加してほしいと思います。

10 月 21 日・ 22 日恒例のパン作り教室がありました。参加希望も多く、 2 日間にわたり開催しました。難しいと思っていたパン作りですが、プロの指導で自信を持ち、再挑戦する男性もいました。

活動報告

プロジェクトリーダー 米田 香

3年目となる 2004 年度のトラスト参加者は 151 名。生産者、メーカー、消費者をはじめ、食に関わるすべての人が参加しています。地場農産物の「作り支え・食べ支え」運動を展開する小麦トラストは、少しずつではありますが活動の輪が広まり、会員の皆さんに支えられていることを実感しています。

今年のトラスト製品発送は、昨年と同様に 12 月からスタートし、すでに 3 回の発送を終え、最後の製品は 3 月 16 日に無事発送の予定です。発送と同時に、小麦の知識やメーカーの紹介、生産者の声を盛り込んだ小麦通信を、また、生産者や小麦畑の様子をカラー写真で紹介したファームレターを昨年 2 回発行しました。

2004 年 11 月 21 日 (日) には、札幌市のエルプラザで、初企画「お国自慢小麦料理交流会」を行いました。北海道大学のブラジル、バングラディッシュ、モンゴル、中国の留学生四名を迎え、スタッフを合わせて 29 名が参加しました。

参加者は 4 カ国それぞれのテーブルに分かれ、各国の小麦料理の作り方を教わりながら一緒に調理をしました。作り方や生地の扱い方、食べ方は各国によって様々で、小麦料理の幅広さを実感。試食会では料理の説明を聞き、お互いに質問し合いながら楽しく交流を図りました。食後はお国紹介として、歌やダンス、ゲーム、民族衣装などを披露してもらいました。子どもたちも料理やゲームに積極的に参加し、ブラジルのサンバのステップを参加者全員で踏むという一場面もありました。短い時間ではありましたが、小麦料理を通して世界各国の文化の違い、その素晴らしさに触れることができました。また、改めてトラスト小麦に対する意識を高めていただくきっかけとなったのではないでしょうか。

2005 年 3 月 5 日 (土) に、生産者、メーカー、消費者が一堂に介し、意見交換会を行います。「作り手・食べ手」が率直な意見を交わし、「顔の見える関係」をさらに深めていきます。

2005年度は、新たな製品や企画など諸提案を参加者の皆さんと考えていきたいと思います。

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