あにふく(アニマルウェルフェア)学習会 2017年11月18日

『聞いて・考えて・話して・深めよう!~卵を産む鶏の育つ環境について~』
卵を産む鶏の育つ環境について学びました

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平飼い養鶏の生産者の方からお話を聞きました

11月18日に18名で採卵鶏の学習をしました。学習会前の挨拶では「平飼いの卵が欲しい」という消費者の声に応えてコープさっぽろが全店で平飼い卵を置くようになった事を紹介し、消費者が声を上げることが大切であることを再確認しました。

 

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始めにスタッフの吉野利子さんが一般的な養鶏についてスライドで説明しました。日本のケージ飼いの鶏の約9割は1羽当たりの面積550?未満で暮らしていてその大きさはA4版の紙より小さいという説明には皆思わず声を上げました。

 

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赤井川村 ㈲コロポックル村代表の赤木陽介氏からは「おいしい卵を採るための実践とアニマルウェルフェア」についてお話いただきました。約600羽のボリスブラウンを、ビニールハウス型の平飼い鶏舎で、床にはもみ殻を敷いて飼っている。エサは小麦、コメ、ぬか、トウモロコシなど1日120gと根菜やカボチャ、トマトなど季節によっておやつを変えていて、余市のリンゴの皮など地元のモノをなるべく与えるようにしている。鶏の習性に合った飼育環境を考えている。今は鳥インフルエンザの恐れもあり外の運動場に出していないが、朝外に飛び出していく鶏嬉しそうに見えた。アニマルウェルフェアの5つの自由(①飢餓と渇きからの自由 ②苦痛、障害または疾病からの自由 ③恐怖および苦悩からの自由 ④物理的、熱の不快さからの自由 ⑤正常な行動ができる自由)の中で④までは日本でも取り組みが進んでいるが⑤に関してはまだまだと感じる。「物価の優等生」と言われる卵の安さを支える生産性や効率を考えると難しいのかもしれない。平飼いにもデメリットはある。鶏は自由にエサや水を摂るが強いものが先に摂り、羽数が多くなると「いじめ」も発生する。2020年の東京オリンピックでは選手村の食材はオーガニック、アニマルウェルフェアが求められるので取り組が進むのではないかと思われる。コロポックル村としては卵が売り切れること多くても羽数を増やすことにはためらいがある。それより地域で平飼い養鶏が増えていくような働きかけをしていきたい。参加者も頷きながら話に聞き入りました。

 

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次にスタッフの小池香織さんが「たまごの基本のキ」を赤木さんに尋ねていきました。「そもそも鶏の寿命ってどのくらいなんでしょうか?」自然では10年ほど生きるが経済寿命としては1年くらい。180日で大人になり早い鶏は120日で卵を産む。

「オスの役割って?」メス10羽に対してオス1羽の割合で飼っている。有精卵100%ではないのでうたわないところもあるが、オスはメスを守るために生きている。エサを先に食べさせたり、つつかれてもひたすらメスに尽くす。
「強制換羽とは?」ケージ飼いでは季節感じないのと換羽する前に処分されること多い。自然換羽では2か月くらい卵を産まずにエサだけ食べる。強制換羽はエサをやらないで1か月くらいでお腹の中を空にすると、羽が生え換わり、また卵を産むようになる。
「ニワトリ農法とは?」畑の周りを柵で囲って鶏を放すときれいに草を食べてくれる。高い所が好きでアスパラに巣を作ったこともある!キツネが来るのが厄介。農家に遊びに行って面白い体験をたくさんしたので農家になりたいと思っていた。好きなことをしているので苦労と感じないが周りのスタッフが大変かも…仲間で融通しあって休みも取れる。
フリートークでは会場から質問等を受けました。「鳥インフルエンザ対策は?」「平飼い」で発生させてはいけないと思い消毒など気を遣っている。原因解らないので怖い。鶏自体の抗体を高める、元気な鶏を育てることに努めている。
「廃鶏は?」2年ほどたったものを自分でつぶして食べているが、大手では産業廃棄物として焼却処理される。持っているものを最大限発揮させて一生を終える。消費者が頑張ることでいいものができる。いいものが高く売れるシステムができるといい。など興味深いお話をたくさん聞くことができました。
参加した方からのアンケートでは「雪で道路がベチャベチャだし、雨も降っていて…でも赤木さんのお話がすごく面白くて来てよかったです。生き物なのに産業廃棄物というのはおかしいと思います。」「平飼いでおいしい卵のお話を聞いて、デメリットは上下関係があり弱いものはエサが食べられなかったり、といじめの問題があり、興味深く聞いていました。なんとなく人間の社会と似ているなーと感じました。」「仕事をしているとは思っていない!好きなことをしている感覚と言われ感動しました。」
今後の学習会について牛、豚の学習を希望する声もあり、2018年3月4日は乳牛をテーマにアニマルウェルフェア認証の牛乳の試飲もしながら学習します。

 

 

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