内藤あんがす牧場を見学してきました
7月11日安平町にある肉牛生産者の内藤さんを訪ねました。以前道内で1万頭くらい飼養されていたアンガス牛が今は1000頭くらいまで減っている中で、内藤さんは輸入飼料に頼らずアンガス牛の繁殖、肥育を行っています。EUでの牛飼育の適正規模1ha当たり牛1頭~2頭に近い40数haで45頭を飼育しています。母牛は1年中放牧で、6月頃種牛と自然交配で翌年3月ごろに分娩、11月頃まで子牛と共に過ごします。
早速牧場へ牛たちに会いに行きました。
暑いのが苦手な牛たちは林の中で涼んでいましたが、見学者を見て牧草地に出て行きました。
林の中ではダニに食いつかれることがままあるのですが、たまにダニに寄生するピロプラズマという原虫によって貧血を起こす子牛もいるので、弱っていそうな子牛は捕まえてきて治療します。放牧地まで毎日牛の状態を見に行きます。
子牛は牧草を食べたり、母乳を飲んだり、今はまだずっとお母さんといっしょです。
牧場の方かと思うほど牛の群れに馴染んでいる帯広畜産大学の瀬尾哲也先生です。
11月ころから子牛は牛舎で過ごします。牛舎は仕切りがなく自由に動き回るためなかなか思うように体重がのってくれません。26ヶ月齢で750㎏~800㎏で出荷します。
朝晩与えるエサは主に内藤さんが作っている牧草とデントコーン。他におからくずやぬかなどの副産物を購入して与えています。
牛の昼食(?)の様子を見た後で私達も昼食です。
黒千石のおむすびとトマトやキャベツのマリネ、それからアンガス牛肉と野菜を七輪で焼いて食べました。美味しいお肉を皆夢中で食べていました。
昼食後に瀬尾先生のお話を聞きながら、牛乳の飲み比べをしました。市販の牛乳(UHT)と放牧酪農の牛乳(HTST)の2種類です。高温殺菌(HTST)と超高温殺菌(UHT)という殺菌方法による風味の違いが大きく感じられ、牛乳本来の味の違いを感じ取る事は難しかったです。
放牧では牛は自由に過ごせるが、ダニによる寄生虫の問題や暑さよけの日陰の確保、水飲み場の確保など大変な部分もあるようです。牛の監視は怠れないので放牧地に何度も足を運び、弱った子牛を治療のため捕まえるのも一苦労などの話も聞きました。
肉は部位ごとに味が違い、例えばロースだけの牛はいないので、1頭買いという丸ごと購入するシステムは助かる。生産者と消費者が結びついて農家を支えるシステムができればいいと思う、等のお話も聞きました。産地を見て、生産者と交流して「食」の背景に思いをはせることができる消費者でありたいと思いました。